木内貴志作品集TOP > キウチトリエンナーレ2004・名前と美術 > 画廊巡り〜妄想十一カ所〜



2004年 木製台、スケッチブック他 300mm×400mm×800mm(1台のサイズ)×12台



木内貴志による作品解説
皆さんは複数の画廊を1日で、何カ所か鑑賞してまわった経験はございますでしょうか?僕は主に学生時代、現在でもごくたまにですが、そういう事をします。
で、そんな時、あまり自分には面白いと感じない展覧会を多く見た日なんか、その日の印象が、「なんか今日はギャラリーで、名前を書いた1日やったなあ」となったりするような経験はないですか?僕はあります。
時には義理の為、わざわざ電車にのって出かけて、名前書いて帰ってくる、てな時もあります。何なんでしょうかね、あの感じ。
「なんでわざわざそんなことすんの?アホちゃう?」といわれれば、そうだと自分でも思いますし、最近はだいぶそういう事はしなくなりましたが、つい習性ですかね、ムキになって名前を書きに…てな感じで、作品を見に行ってるのか、名前を書きにいってるのか、目的がよくわからなかったりしてしまうことがあります。何なんでしょうかね、あの感じ。
それから、よく神社とかの中に、全国からの色んな神社の出張所みたいなのがあって、ここを一週したら…みたいなのや、プチ八十八カ所のオリエンテーリング、とか、この掛け軸を購入すれば、あなたも八十八カ所巡りをしたのと同じです…みたいなの。何なんでしょうかね、あの感じ。
そこで、今回はその感じを、そのまま作品化してみよう、というわけで、複数の画廊を巡り、その展覧会を鑑賞してその証として名前を書くというその制度のみを抽出し、名前のみを反復して書かされる、という無意味な行為を鑑賞と共に行なえる作品にしてみました。
 ただ並べるのではない、という雰囲気を出す為、寺仏閣などの八十八カ所巡りの小さいシュミレーションのような、ありがたいかのような行為にも変換させ、ここで色んな有名ギャラリーを一度にまわった呈になれる、的なインチキ世界を形成してみました。
実在のギャラリーの名前を模した名前をひとつひとつに付けて、架空の信仰のようなものをでっちあげ、見た目はミニマルアートの様相を呈した、意味なし作品と意味なし行為のくり返しをしてもらおう、といった感じです。
実在の画廊を出張してもらう、というほどの行動力も実行力も備えてないもので、ここは得意の妄想に任せてみました。
タイトルも名曲「岫めぐり」みたいな情緒がでたら、と思ったんですが、どうでしょう?

(2004年当時の「作家による有り難くも鬱陶しい作品解説」より)

出品展覧会

キウチトリエンナーレ2004・名前と美術
「キウチトリエンナーレ2004・名前と美術」 2004年11月29日(月)〜12月18日(土) GALLERY wks.(大阪府)